大阪商工会議所は、中小企業の適切な「新陳代謝」を後押しする環境整備を政府に要望しました。事業承継やM&A(合併・買収)、廃業を前向きに選択できる仕組みが、経営者の再チャレンジや経済活性化につながるとしています。
背景と課題
- 日本の廃業率の低さ
日本の廃業率は22年時点で3.3%と、英国(11.8%)や米国(9.6%)より低い。一方で倒産件数は24年上半期に前年同期比22%増加しています。
- 適切な退出の重要性
生産性の低い企業が役割を終えて退出すれば、人材や資源が生産性の高い企業へ移り、経済成長につながります。
新たな再生手段の模索
- 私的整理の仕組み改善
経済産業省は、債務者と債権者が多数決で私的整理計画を決定し、裁判所の認可を受ける仕組みを検討中。第三者機関が手続きを監督し、公正性を担保します。
- ドイツの事例「StaRUG」
ドイツでは21年に新制度を導入し、支払い不能が迫る企業が多数決で債務を整理できる仕組みを実現。日本でも参考になるとされています。
中小企業が直面する現実
日本の非金融法人の債務残高は2019年末から23年末にかけて約112兆円増加。金利上昇が進む中、債務や事業の整理が遅れると賃上げの持続が難しくなる可能性があります。
今後の展望
新たな再生や廃業の仕組みを整えることで、経営者の負担を軽減し、日本経済全体の生産性向上と持続的な成長を目指す議論が進んでいます。経産省は年末に向けて制度設計をさらに深めていく予定です。
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