中小企業が注目する「脱炭素経営」:SBT取得で競争力向上へ
脱炭素経営を経営目標に掲げる国際認定「SBT」を取得する中小企業が増加しています。特に中小向けの緩やかな認定基準が制定された2020年以降、認定数は急増し、2024年10月時点で1000社を超えました。背景には、大企業からのCO2削減目標の要求や環境意識の高まりがあります。
中小企業の取り組み事例
- 越智製作所(大阪府門真市)
- 顧客にCO2削減提案が可能な新システムを構築中。例えば、同じ品質でCO2排出量が少ない材料を提案する仕組み。
- 再生材料の積極活用を通じて、温暖化対策に貢献。
- 「環境」が価格や納期に次ぐ競争力の要素になると認識。
- 艶金(岐阜県大垣市)
- 国内染色業界で初めてSBTを取得。CO2排出量を2030年度までに57%削減する目標を掲げ、新型染色機や再生可能エネルギー導入を進める。
- 環境配慮型アパレル企業からの注目を集め、新規注文を獲得。
- 阿部工業(新潟県燕市)
- SBT取得が採用面で効果を発揮。特に若い世代からの興味を引き、内定辞退者ゼロを実現。
環境認定「SBT」とは?
- 国連が定めた「パリ協定」の目標に基づき、CO2削減目標を設定する国際認定。
- 日本は認定取得数で世界最多(904社)。そのうち8割が中小企業向けの認定。
課題と展望
- 取り組む企業が増える一方で、様子見を続ける企業もあり、中小企業間で二極化が進行中。
- SBT取得は即時の経済効果ではなく、取引や採用での長期的な競争力向上に寄与。
中小企業にとって、環境経営は競争力を高める新たな要素となりつつあります。脱炭素の波を早期に捉える企業が業界をリードしていくでしょう。
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